レインボー酒蔵通西館

平成20年11月、当時「適合高齢者専用賃貸住宅」として竣工した本館の西側に「サービス付き高齢者向け住宅」を18戸増築する計画です。敷地は西宮市の特別用途地域（酒蔵地区）内に位置するため水質保全に配慮した工事計画が求められ、またわずか5年ほどの間の法改正により本館と西館の条例上の取り扱いに矛盾が生じるなど、計画の確定までには案外時間を要しました。
プランニングの概要としては１階に駐車場、２階に共用のリビングと多目的室、３，４，５階の各階にはそれぞれ６戸の住戸と共用部といった構成になっています。
建物正面はコンクリート化粧打ち放しによる逆L型のフレームと、そこからスライドしたような位置におかれた面を強調されたタイル貼りの壁面とからなっており、その二つの要素の隙間をガラス面とすることで両者のズレを強調させ重量感のある壁を不安定な宙吊りのように見せています。またこの壁面に深く切れ込んだ横方向のスリットは面要素の浮遊感を強調するのと同時に室内側からは階によって空や周辺の街並みあるいは遠く六甲山系の景色を切り抜いて、少し面白い見せ方をしてくれています。
この建物がオーナーの社会福祉にかける理想の実現に寄与し、ここに集まる入居者の楽しく健やかな暮らしを実現することになれば幸いです。